ビクトリア州で新型コロナ禍の事業者向け支援金をめぐり、受給資格のない事業者に多額の支払いが行われていた問題について、汚職監視機関の調査結果が公表されました。複数の報道によると、対象外の事業者およそ9,000件に支援金が渡り、損失規模は数億ドルにのぼる可能性があるとされています。

今回のポイントは、不適切な支払いそのものだけでなく、州政府内で被害の大きさが十分に共有されなかった可能性が示されたことです。報道では、当時の高級公務員が担当大臣に対し、問題の全体像や損失額について十分に警告しなかった、あるいは情報を抑えたと調査で指摘されたと伝えられています。

新型コロナ期の支援策は、営業制限や売上急減に直面した事業者を早く救済する必要があり、オーストラリア各地で短期間に大規模な制度設計と支給が進みました。その一方で、急ぎの運用が審査の甘さや確認不足につながりやすかった面もあります。今回の件は、緊急時の支援制度であっても、後から検証できる記録管理や説明責任が欠かせないことを改めて示した形です。

現時点で報じられている内容では、問題となっているのは主にパンデミック当時の制度運用と行政判断で、今すぐ一般市民の生活に新たな制限が出るという話ではありません。ただし、州政府の財政運営や公的支出への信頼に関わるテーマのため、今後は再発防止策、内部通報の扱い、監督体制の見直しが焦点になりそうです。

パース在住の日本人にとっては「ビクトリア州の話」と感じるかもしれませんが、豪州では州ごとに補助金制度や行政手続きが異なる一方、連邦・州をまたいで事業支援の議論が広がることも少なくありません。将来、WA州を含むほかの地域で支援制度や監査の厳格化につながる可能性もあり、事業をしている人やこれから開業を考えている人は、助成金申請時の資格確認や記録保存をこれまで以上に丁寧に行う必要がありそうです。

また、今回の調査では内部通報の役割も注目されています。オーストラリアでは公的機関や大企業でコンプライアンス体制の整備が重視されており、問題が起きた後の処分だけでなく、早い段階で懸念を上げられる仕組みがあるかどうかが問われます。日系の中小事業者にとっても、会計記録、雇用記録、補助金の申請根拠を整理しておくことは、将来の確認や監査への備えとして重要です。

今回公表された内容は、コロナ期に急いで実施された支援策の「後始末」がまだ続いていることを示しています。今後、州政府側の追加説明や制度改善の発表があるのか、引き続き注目されます。

参考元