ブラインド・ゴルフ ボランティア感想文

(2005 The Australian Open Blind Golf Tournament WA)

ボランティアに参加してくれた方から、感想文が寄せられたので、そのまま記載します.(実名は承諾済)
失礼ながら、説明不足だった部分には補足をさせていただき、私の感想も序でに.(広瀬 記)
2005年11月7日 月曜日

生きることは常にだれかと二人三脚      クレイトン 喜久子
日頃からスポーツ、特にゴルフとは無縁の生活をしている私ですが、盟友トシさんの依頼で、今回の国際ブラインド・ゴルフ大会で日本側プレーヤーのキャディを務められそうな友人たちをご紹介しました。ゴルフ暦も長く、炎天下や少々の雨降りにも悠然とプレイを楽しむ人たちですが、ブラインド・ゴルフはまったく馴染みのない分野です。熱意はあっても、知識も経験も皆無に近い。当然、にわか仕込みの訓練が要求されます。

この新米キャディの皆さんの中に潜りこんで、私もブラインド・ゴルフとはどういうものか、キャディの任務とはいかなるものか、つぶさに見学できたのは、本当に得がたい体験で、感謝しています。ゴルフそのものの面白さも少し理解できるようになりましたが、プレーヤーとキャディが常に一体となって行動するブラインド・ゴルフの原則の奥深い意義に、うなづけるものを多々感じました。

「あなたがサポートする人は全盲(B1)です。あなたはB1の目であり、足です」、コースの端から端まで轟き渡るような、よく通るドスの利いた声で、トシさんは熱心に語りました。想像力をフルに働かせ、常に相手の身になって考え、一心同体で行動すること、細やかな気配りを心がけること、…トシさんの話を聴いているうちに、「キャディの心得」はそのまま、トシさんの人柄を映し出しているのだと思われてきてなりませんでした。気随気まま、わが心のおもむくままに、自然児的な生き方を貫いてきたかに見えるトシさんですが、その実驚くほどきめ細やかな気配りをさり気なくするのを、私は何度も見ています。女性もかなわない、意表をつく心根のやさしさを持っています。

もう一つ、トシさんのキャディぶりを観察していて感じたのは、からっとした明るさ、ユーモアがいかに重要な潤滑油の役割を担うかということです。パートナーがミスショットを重ねても、あっけらかんと笑い飛ばし、いいスコアが出ると全身で喜ぶ。憂き世を楽しく生きる極意なのでしょう。つまるところ、私たちは宇宙をさまよう旅人にすぎません。旅は道づれ、いつもだれかと、手を取り、支え合って、ゴールをめざして進んでいく…まさにブラインド・ゴルフのプレーヤーとキャディのあり方、そのもののような気がします。
(広瀬 盟友?K女史の世辞は正に快く、私を擽る。それが何時の間にか老体を揺さぶり、勇気に変わる。気負わぬ協力、貴女なればこそと心中から感謝します。)

ブラインドゴルフのキャディー           小屋敷 充
今回ブラインドゴルフのキャディーをして思ったことは、ブラインドの人はもっと打
てないものかと思ってたのに驚くほど普通に打っていた。さすがにグリーン上ではな
かなか難しいもののショートコースで1オンするなどかなりいいショットを目のあた
りにしました。
あとは一緒に回った中にプロがいたのでそのショットの正確さと飛びの違いに驚かさ
れました。あんなに近くでプロのショットを見ることなんてなかなかないと思うので
とてもラッキーだったと思います。
自分のこととしては普段あまり歩かないので18ホールを回るというのはかなりいい
運動になることを実感しました。日本でショートコースはまわったことがあったので
すがちゃんとしたコースを回ったのは初めての経験だったのでとても新鮮で楽しく1
日を過ごすことができました。
とはいえ帰ったら足がパンパンになっていましたが・・・・
(広瀬  プロとコースを廻ったのは貴方の一生の思い出。鼻高々と人に話してみたら!
信じるかなー。それは貴方の人間力次第。)

ブラインドゴルフのキャディー           大槻 慎一
広瀬さんから初めてCaddyの話があった時は、実は待ってましたという感じでした。
というのは、現地のオージーの友達が永くこのボランテアをやっていて、よく話しを
聞いていたからです。
実際どういうふうにやるのだろうか。興味半分、半信半疑でした。日本語だったら、
大丈夫だろうとたかをくくっていました。
ところが、Lake Claremont Clubでの広瀬さんの実地指導が始まって、まさに、
驚きの連続でした。目がみえないというのはどういうことなのか。
広瀬さんの一挙手一投足が、目にうろこでした。
”饒舌になれ” ”いつも相手のことを考えろ” やってみて初めて納得できました。
人から聞いていた話と実際の経験が、こんなに違うとは!

初日のプロアマ戦の18ホールが終わり、その後のPartyの後帰宅した時は
くたくたでした。しかし心地よい何かが残っていました。
数日後Partnerからお礼の電話がありました。お礼をいうのは、何かを
与えてもらった私のほうからすべきでした。
 水野さん、ありがとうございました。来年又お会いしましょう。
(広瀬  私の勝手な言を少しでも理解していただき嬉しく思います。
今回得た「何か」を今後の活動に役立てたら良いですね。)

ブラインドの方々のキャデイとして        深田 明彦

私はゴルフを始めて50年、海外生活は合計27年、
お陰さまで此れまでに約4000回以上プレイしてますが、
今回のゴルフほど私の人生で今までに経験した事のない
満足感を味わつた事はありません。

10月 28日(金) NEDLAND GOLF CLUB (パース市内)
の協力で朝の9時集合で我々がスタートしたのは11;30分
通常では考えられないゆつたりした始まりでした。
実は1ヶ月前当地のブラインドの方々プレーを見学し多少の要領
は解った積もりでしたが、実際にはプレイヤーの方に教えてもらい
ようやく終えたとゆうのが実感です。

以下に私が感じた事を記してみます。
1. まずプレイヤーの扱い方が解らない。
   右、左 どちらの手でどうゆう方法で持ち、どうゆうスピードで
   歩けばよいのか。
(広瀬  簡単ではありませんね。一人一人違うので、私がアドバイスしたようにスタート前にコミニケイションをとって気持ちの交感をする。心が通じれば歩調も易し)
2. ゴルフ場には各所に段差がある。
   その場、その場の説明は簡単な様で正確に理解してもらうのは難しい。
3. ゴルファーの技量、特徴をなるべく早く掴みその人
   に合つたアドバイスをすべきだと思う。 
(広瀬  そうすべきと言うより、そうで有ればより楽しいでしょうと、言う程度で
良いのでは。盲人ゴルファー(特にB1)は一振り一振りの技量、特徴が固定化されません。
キャディに完璧さを求めるのも難しく、上手くいったら一緒に喜ぶ、そんな余裕が有ってこそ気持ちの良い余韻が心に残るのでは。)

4. 距離、方向、障害物の説明は一見やさしい様で難かしい。
(広瀬  2年経っても今だ初心者の私。良いアイデアが浮かんだら是非教えて下さい。)
5. 特にアゴのあるバンカーはブラインドの人にとつて難しすぎるので、
   出来るだけフラツトでバンカーの無いコースを選ぶべきだと思う。
(広瀬  ブラインドゴルファーにはゴルフコースを選ぶだけの余裕は全く有りません。
プレイをさせてくれるゴルフコースが有るだけで幸せです。グリーンの周りは難しく
バンカーだらけ。でも、協力してくれたゴルフクラブに深く深く感謝しています。)

6. 最後に二人の相性、出来れば気心の知れたパートナーが、キャデイとしてベスト
だと思う。
(広瀬  その通りですが、ブラインドゴルファーはキャディを選べないのと同じく
ボランティアキャディも付いた人にベストの心を尽す。これがブラインドボランティアの楽しくも難しい事と解してください。)

たつた一日の経験でしたが、これだけのハンデイを背負つた人々が
これだけのゴルフが出来るとは。
我々健常者は皆様のこの努力を大いに見習つて毎日の生活を有意義に
感謝して送るべきだとつくずく思った一日だつた。
(広瀬  貴方はキャディとして最善を尽くしました。ブラインドゴルファーから得たエネルギー。彼もまた貴方から優しさを沢山得たと思います。)

ブラインドゴルフのキャディー      H.K生
自分でゴルフをやっているときと同じように愉しかったです。
ショートパットのときなど、「入ってくれよぉ」と祈る気持ちでしたね。
視覚障害者と身近に接したのは今回がはじめて。ましてやブラインドゴルフのキャディをやるなど考えたこともありません。どのように対応したらよいのかいささか不安でした。
しかし、試合の始まる前に今回担当したプレーヤーの方と二言三言お話をしたら不安がぬぐえました。目が不自由な点を除けば普通のゴルフ好きの方とまったく変わりありませんでした。
9ホールがあっという間に終わりました。
その方は日本でプロに習っているそうです。そのプロのアドバイスの一部を教えていただきました。これから私のゴルフの参考にさせていただきます。
Mさん、ありがとうございました!
(広瀬  貴方の一寸した思い遣りの心が、Mさんに有り難うと言わせています。)

BLIND GOLF大会のキャディをし           プライス 康子
今大会に日本から来られる全盲の方のキャディをしてくれませんかとのお尋ねがあった時、気軽にハイ、ハイとお引き受けしました。ところが実際に広瀬さんが全盲の人のキャディをされるのを見学させていただいて、キャディの役割の重要なことを知り、これは大変なことを引き受けてしまったと後悔しました。でも一方では、今まで一度も経験したことのないことへの興味と、広瀬さんの名キャディぶり、そしてパートナーと共に楽しそうにプレイしているのを見て、何か温かいものを感じました。

 思い遣りの心が目と足を支える、原点は常に「心」です、とおっしゃった広瀬さんのお言葉に、私にも出来るかも知れないと思いました。その後、私なりにいろいろ努力をしたつもりですが、当日は大変緊張しました。でもキャディをさせて頂いた小泉さんは温厚なジェントルマンで、とても助けられました。

 常にプレイヤーの目になることも難しいことです。次に打つクラブを渡す時、つい相手が受け取ってくれるものと、手の前に差し出し、ハッと気がついて手に握らせてあげたことも何回かありました。又ボールがブッシュに入り、うっかり二人でクルクル歩き廻り、やっと探し当てた時にはお気の毒にも方向感覚をすっかり混乱させてしまったり、いろいろ失敗もありました。

 小泉さんは何回かのミスショットの後でも、他の方に「どうですか」と声をかけられると、いつもニコニコして「頑張っています」と返事を返しておられたのが、深く印象に残っています。トーナメントに出場された方々が、キャディが毎回違う上に、NEDLANDS
GOLF CLUBのような大変難しいコースだったりと、二重にも三重にものハンディを負ってのプレイだったにもかかわらず、いつもポジティヴで和やかな態度でいらしたのにも、大いに感銘を受けました。

 この度は貴重な体験をさせて頂きまして、本当にありがとうございました。
(広瀬  貴女の姿が何時もコース上に有り、二人のゴルファーの肌は常に貴女を近くに感じていました。その真剣な心はゴルファーに通じています。そして貴女が失敗と思った行為は、失敗ではありません。貴女の心ある熱意と受け止めているでしょう。)

ボランティア(ブラインドゴルフ)参加の感想       吉野 照代
目の不自由な方々のゴルフトーナメントに、ボランティアとして参加しました。カートをひっぱるのが、私の主な仕事でした。
パースで“目の不自由な方々がゴルフを楽しむ”というとこを始めて知り、それを聞いた時には目が点になりました。
目の健康な私でさえ思うように球があたらないのにどのようにしてゴルフボールを打つのだろうか。
どのようにしてゴルフコースを想像するのだろうか。歩く時はどうするのだろうか。
採点はどうするのだろうか。疑問は、つきませんでした。

私はゴルフにおいて初心者なのでボランティアをするという意識より、彼らがどんなクラブをどのように使ってコースを攻めるのか非常に興味がありました。
“案ずるよりも生むがやすし”とは程遠い難しいコースでした。
一緒にコースをまわっているうちに感じたことは、彼らが一番望んでいる事は“自力で考えてゴルフを楽しみたい”ことだと思いました。
オーストラリアのボランティアの方達は、淡々としかも楽しみながらボランティアをしているのが印象的でした。

国土の広さと、福祉の底の深さを感じさせられました。
日本から来た彼らにとってむずかしすぎるコースは楽しめないようにも思いました。
一つ残念に思ったことは、私達カートをひっぱった人がパーティに参加できなかった事です。
この考えは理解できませんでした。次回からは全員パーティに招待して上げて下さい。
(広瀬  ご存知のように1プレイヤーに1キャディ。その他にカートを引く人が付く、そんな光景は見なかったでしょう。日本人だけにゴルフコース上で許された特別扱いです。
「間に合わせ」のためのボランティアで仕方の無い事情。プレゼンティションでも1キャディの招待。出来たら全員招待したいのですが、オーストラリアプレイヤーが圧倒的多数、それでも1プレイヤー1キャディ、日本人の特別扱いはコース上だけでも有り難く思います。私も全員の参加を願い試みたのですが、力不足でご免なさい)

Blind Golf Volunteer に参加して          保手 幸子
最後の9holeで、皆見守るなか小泉さんがPar4で決めたときは“ヤッタァ”と大声で歓声を上げずにはいられませんでした。これはplayerのみならず、お手伝いのcaddyさんすべてがむくわれた感動の一瞬でした。

初め全盲の方がどのようにゴルフをplayするのか見当もつきませんでしたが可能であり、お手伝いする方も楽しめたと確信します。
一方、日本国内ではいまだにdisabilityの人々にとってplayする事がむずかしく、ひらかれていないゴルフ場の状況と聞きました。
今回このcompetitionに参加できた人々はとてもラッキィでひとにぎりの選ばれた方という印象を受けました
。私の所属するゴルフクラブでは片足のない方が普通に車椅子でプレイして居ります。

もちろんtee upとかボールをひろい上げるのは他のplayerがお手伝いしています。でも皆の気持ちの中にやってあげているというおしきせが全く感じられないのです。
このように自然にvolunteer出来るAustraliaはすばらしい国と思います。
例をあげれば車椅子の人も一人で電車、バスにのれるし電話連絡で駅員が昇降をてつだっています。
きっと小泉さんもPerthno美しい青空の下でplayした事を肌で感じ心の目で奥様と仲むつまじくいつまでもplayしつづけることでしょう。
(広瀬  私のパートナーMも時折見知らぬ人に車で送られて来ます。
駅員が自分の車で、わざわざ連れて来てくれました。全てに心の余裕が有るからだと思います。
私も週三回のボランティアの中で精神障害者のサポートをしていますが、金銭的にも、環境的にもそれなりの保護をされています。
ただ、他国と比較しても歴史、生活環境、政治政策等々の違いは何としようも有りません。
でも、オーストラリアではボランティアをしている私も楽しく幸せです。)

ブラインドゴルフのキャディー         太田 昇
キャディーの役の人に付いて、バッグを運ぶだけということだったので、ボランティアを引き受け、全盲のKさんに付きました。生まれて初めてのボランティアです。
実はゴルフも初めてで、「7番ウッドを取って下さい。」と言われて、7番アイアンを渡したりしながら、"バッグを運ぶという任務"以外のことを考える余裕もなく付いて行きました。
全盲の方に接するのも初めてで、トイレに連れて行く時、歩きながら、どうやって便器の前に立たせたら良いのだろうかと悩んでいると、トイレの入口でドアの枠にKさんをぶつけてしまいました。
というような数々の失敗を繰り返しながらも、取り敢えず終了することができました。初めてのことばかりで、私自身にとっては、面白い体験でした。
(広瀬  ごめんね!私が忙しくてトイレの世話を貴方に任せて。でも、失敗と思しき体験は学業研究からは絶対得られない、人生成功の基と思考の転換をしてみては?)

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