私のボランティアNO84   広瀬寿武
(普通の人達がいるから)

新春になると「今年の目標は?」「夢は?」と問われる事がよくある。
今年、73歳になる老人に「目標だ」「夢だ」と陳腐な質問をされても答えようがない。

何となく、ぐうたらに過ごした正月の三箇日、その気分がボランティアに行く気力を妨げる。
「休もうかな。どうしようかな」と気まぐれな葛藤の末に腰を上げる。
私が関わっている所は医療系のため、そこを頼りにしている人達は休日が有ると困る。
だが、働く人は自分の権利である休暇を100%有効に使うため、この次期、毎年、人手不足になり、ボランティアの私達を当てにするのも仕方のないことなのだと思っている。
そんな忙しい中で特に目に付き、思うことがある。
スタッフの人達は夫々訓練されているプロ達。当然それに見合う報酬もあり、我々ボランティオアに携わる者と大きく違った責任もあるのだから当然なのだろうが「よくやるわ」と感心させられる情景を目にする。
「私ももっと役に立つように努力をしようかな」なんて無駄な思いを口に出すと、プロは言う。
「私達はプロとしての仕事をこなす努力をしているが、貴方たち普通の人達が普通の仕事をしてくれるお陰で、プロとしての仕事が成り立つ。お互いがお互いを補助し合って、毎日が進行している。どちらが欠けても困る」

私は一人のボランティアとして役に立てば十分なのだ。それ以上なんてナンセンス。
普通の私が手伝うことで、プロの彼等が自分流の仕事が出来る。
普通の私がボランティアをするからプロ達も普通の私を認め、頼りにする。

考えてみると長年ボランティアに携わりながら、普通の私から一歩も出ていない自分の姿。
「だからかなあ、だから今年も続きそうな気がする」
だから、目標でもなければ夢でもない私のボランティア。


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