私のボランティアNO75      広瀬寿武
       (物忘れ現象とボランティア)

2月20日から約3週間シンガポールから中国、広州へ飛び、6回のゴルフをした外には、これと言った特別な目的も無く、成り行き任せの興味で日日を過した。
十年前、蟻の移動みたいな自転車の行列に驚いたが、今回、車の、それも高級車、新車の交通渋滞、その混雑にまたまた驚いた。
街並みに見る若者達、ビジネスに携わる人々の殆どが、携帯電話は必需品、それを使用するゲームに映画にと、そのテクノロジーの普及は私の想像を遥かに越えたものだ。
広大な商業エリヤは、成り行き任せの気楽な旅に火をつけた。
旅の仲間は日本人の私、タイ人のP、チャイニーズのDとBの2人、共に10年来の4人の親友。
街中は殆ど英語が通じない。
外出は常に4人一緒とは限らない。私一人で朝夕の散歩に出掛け時間を勝手に過すこともしばしば。
ここに旅行記を書こうと言う訳ではない。
私はここ数年、物忘れの激しさに我ながら腹が立つどころか、もう呆れ果てている現状を、旅に出て再認識し、恐怖を覚えた。
外出する時は必ず、ホテルを認識出来る物を持って出るようにと再三、友人から言われ、ポケットに名詞を入れたつもりが、ホテルと無関係な買い物先の宣伝名詞。
外へ出て左に右に二~三回曲がると方向が混乱して、とんでもない方向へ迷い込む。ホテルの名前も忘れ、夕食時の約束時間に帰れず、皆に心配を掛けた。
買い物をした店にカメラを忘れ、たまたま、レシートが残っていたので、友人が手配をしてくれ、手元に戻った。
書き切れない物忘れ。
その寸前まで「これを忘れないように」と思って気にしているのに、他の事に気を回した瞬間に、2~3秒前のことを簡単に忘れてしまう。
見知らぬ土地で緊張の度合いが高い旅行ですら、この状態なのだから 、平時は論外だ。

ボランティアの一つである、ブラインドゴルフでの打数のカウントは頭が痛くなる。9ホールで3時間以上掛かるゲーム。
カートとプレイヤーのMを引っ張り、1ホール、6~15以上打つ玉を捜しながら、時にはブッシュを、時には深いラフの中を連れ歩き、Mの安全とスイングした時にクラブのフェイスに当たるようキャディの知恵を絞る。さて、上手く当たれば良いが益々悪いポジションに入ってしまう。幾つ、何回空振りしたかなんて記憶している余裕は無い。
1ホール20近くスイングすれば私の記憶力では難しいので、カウント機を買い持ち歩いているのだが、そのボタンを押すのを忘れてしまう。
私のゴルフですら前のホールでの記憶と混同したりしてカウントが多くなったり少なくなったりで、困ったものだ。
カウントが間違うくらいではまだ大きな被害は無いのだが、ブラインドゴルフでは事故の無い事が一番重要なのだ。
常にMの安全に神経を使い、周囲に最大の注意を払う。
例えば、周りに人が居る場所で、ゴルフクラブを振り回したら、取り返しの付かない重大な事故が発生する。
目の見えないゴルファーは付き添いのキャディが頼りなのだ。
そのキャディが「注意を忘れました」ではキャディの資格がない。
私の「物忘れ」と言うこの状況で大丈夫だろうか?

中国の広大な街中で迷いながら、やっとホテルにたどり着き、皆に心配を掛けた、この計り知れない「注意不足」では説明の出来ない「物忘れ」を思う時、「私のボランティア」に不安を覚える。
O’Cのアウティングでも、とんでもない「忘れ物」をする。笑い話では誤魔化せない事がしばしば。

昨年12月、早い時期からの計画だったので事前に休暇届を出す事が出来、ボランティア事務所には迷惑を掛けずに済んだが、私にとって3週間の休みは「私のボランティア」を考える良い機会になった。

「来週ボランティアの会長と相談してみようかな?」


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