私のボランティアNO70 広瀬寿武
(空しく思う時)
「ボランティアをしながら、空しさを感じる事がある。貴方はそんな時がありませんか?」「そんな時もあったと思うけど、深刻に思った事が無いので思い出せない」
障害や病気を持つ人、老齢者達と関わるボランティアを長く続けていて「空しい」と感じた一時はきっと有ったんだろうが、それを心に溜め深刻に反芻していたのでは、毎週毎週欠かさず出掛けなければならないボランティアが、こんなに長く続くわけがない。
それだけ私は単純な人間だと言う証拠でもある。
でも、どのような事情でそのような感情を持ったのか分からないが、空しく思う人がいたところで、それが特別とは思わない。
先日、日本人コミュニティーの、日本クラブ、日本人会合同のイベントを行った。
成り行きからイベントを実行する委員(3人)の一人になり、共に知力、労力を出し合って
企画、準備、実行とイベントを形にした。
両クラブの親睦を目的にした企画。
「餅つき」「ローンボーリング」「ラッフル抽選ゲーム」
蓋を開けてみたら参加者150人上。
150人上の人が集まるのですよ!リハーサルなしのぶっつけ本番!
「餅つき」両クラブの女性有志の強力なボランティア精神が頼りの綱。
「150人に美味しいく、満足な量の餅を食して貰う」ために細心の準備を重ねた、心労を想像すれば、細部を書く必要がないでしょう。
委員も女性有志に最善の協力をする。
150人分の餅米40Kg。この時期、在庫不足。その上、ショップを回り2~5Kgと集めた所で、品質、産地等が違い、美味い餅が搗けない。
アメリカからの上餅米を手配。(農産物輸入協定等の説明は我等の任にあらず)一ヶ月前の発注。
餅つき機の手配(8台)、電圧は大丈夫か、ガスコンロ、ボンベイ、大なべ、ふかし釜等々。
斯く斯く云々、餅つきの準備だけでも、主役の女性有志と裏方3人のボランティアは心労を厭っている余裕はない。
9時から始め12時までに全員が満腹する食べ放題の驚くべき作業。
具沢山のトン汁、添え物、漬物、お茶の用意に飲み物と当日も大忙し。だが、参加者に見えたのは「淡々と流れる表作業」準備期間の苦労なんか誰も顔にも出さない。
食後の特別イベント、ローンボーリング。何人の人が参加するか分からない、ぶっつけ本番のために、会館との細かい打ち合わせ。だが、開催前の三日間続いた悪天候、餅つき会場内の配置はもとより、ボーリーング中止の代案と、当日早朝まで胃の痛くなる厳しいプレッシャー。
私が企画の推進を請け負ったために、我が妻様、料理の責任者となり「貴方がこんな事を安請け合いするから、私まで大変な苦労するはめになったわ」と愚痴られたが、女房の協力なくては出来ないイベント。天邪鬼な私が素直に感謝をした一幕、二幕、三幕。
400点のラッフル景品。卸元と品種、価格の交渉。
「俺の物ではないのに、頭を下げお願いしなければならないのか?」
兎に角、大方は成功とボランティア全員で拍手をし、互いの労を労い合った。
数日間、残務の処理。
だが、終わってみると色々な声が聞こえて来る。
「お腹が減る前に餅が出来て、思うように食べられなかった」
150人を想定しての作業。「お昼時に同時に」なんて、作る人の身になって考えて欲しい。
「ラッフル景品にもっと高価なものを!」委員は参加者全員に何かが当たる楽しいゲームを考え、景品集めに頭を下げ、奔走した。「それは委員の驕り、勝手だよ」
「会場がもっと豪華な所なら?」
ボランティアの空しさとは、こんな時か?
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