私のボランティアNO63 広瀬 寿武
(こじつけた興味の散歩)
何をやってもそうだろうが、私のボランティアからも思わぬ副産物が生まれ
てきて、それが又面白くボランティアの活力になる。とは言え特別な事でも
ないのに興味が湧く。
そこから派生した興味が根元と無関係に勝手な方向へ進むから、尚更腐りか
けた脳に刺激を与える。
以前にも触れたが、私のボランティアに関わる中にイスラム教徒の友人が居て、
その友人、親戚と自然に対話の輪が大きくなった。
その一人にイラクから親戚筋を頼って逃げて来た(彼の言)モハメッド(シーア派)
が居る。彼の紹介する友人は皆「モハメッド」その後に長ったらしい名前を
付け足すが、憶えきれないので私は勝手にモハメッド「A」「B」「C」と呼ぶ。
そして男性ばかり。
ここ10年、女性を紹介された事がない。
「女性を紹介しろよ」「駄目だ」「何故?」「コーランの教えに従うのだ」
こんな馬鹿げた会話から「コーランって何なのだ?」と副産物の興味に取り
付かれた。
「イスラム教」「コーラン解説書」「アラーの神」等を通読してみるがトンと
理解できない。
理由は簡単。私にイスラムを信仰する心も要素も無いからだ。だが、彼等は
子供の頃から暗誦、暗記して生活の全を指針する、人生の在り方(方法)だ
と言っている意味は理解出来るような気がする。私の脳味噌の能力はさて置
き、読めば読むほど面白い。
コーランは細部にわたって人間の本質を見抜いて、それを戒め警告している
ので、私なぞはドッキとする事も多く有る。
「人間は悪であり、信頼出来いし、何時、何をしでかすか分からない。弱く、
騙し合い、裏切るのは不思議ではない。その被害を受けぬようにお互い律し
合い、監視合うべきだ」私の事ではないかと思わず「おお」と声を上げた。
どんな人間に対しても当初から信用しない猜疑心と冷淡な認識を持っている
と感じる。女性は特に恩知らず、男性の何倍も罪深い悪の存在であり、不信
の対象となっている。信頼できない罪深い女性をうっかり他の男性に紹介し
たら何をしでかすか分からない。
「女は罪を犯しやすい。浮気をしても不思議ではない」自分の妻や女の不倫、
不祥事の現場を発見したら、男性は自分の手で2人を殺さなければならない
と有る。このような不始末は男の名誉に関わる。やがては身内の男達の名誉
までも傷つける。そんな状況にならないよう、互いに律し合い、監視すべしと。
恋愛自由時代と言え「コーラン、良くぞ書いた!」と彼の男達も居るのでは?
私がこんな事を言おうものなら、色々な面で「痛い目に合う」のは必至だ。
世界に3大宗教の仏教、キリスト教、イスラム教と有るが、イスラム教は発
生理念が少し違うように思う。
第一にイスラムの教えに反する者を殺してでも布教しようとする「力の宗教」
を感じる。ニューヨークのテロ以来、イスラム教徒が日々のニュースを賑わす。
何だろうかと良く思う。でも何だかよく分からないのが現状。
コーランの解説を読んでいると理屈抜きで「その教えに従うべし」との事が大
部分、それに大きな力を感じる。宗教的教えの力で数限りのない人間の命が左
右され、敵か味方かを明確にして責任の所在を宗教化する概念に甘える余地が
無い。だが、果たして誰に責任が有るのか不透明な部分が残る。これではイス
ラム以外の国や人達から受け入れられるだろうか?
その是非はともかく12〜13億のコーランの教えを人生観とする、イスラム
教徒が地球上で共存している現実は、理論理屈での理解を超えた何かが必要で
はないだろうか?
「妥協」コーランの中の何処に「妥協」と言う文字があるか探してみなければ
ならない。
コーランの意味内容はイスラム教徒(社会)が持つ長い歴史観を考えなければ
見えて来ない。
「人間は信頼出来ない云々」の一行だけでもイスラム教徒が辿って来た、そし
てモハメッド(預言者)の生き様を深く知ることなく、生半可に解釈する事は
出来ないような気がする。
アフガニスタンから来たJの父は4人妻がいて、その第2妻の長男。兄弟合わせ
て16人。みんな隣近所に住まい、お互いに行き来しながら助け合ったり、愚痴
を言い合ったりで喧嘩をしたのを見た事が無いと言う。異母兄弟も仲が良い。
ただ、極端に自由が束縛され、その行動範囲は家の中だけの不自由な専業主婦と
言う環境が「喧嘩をしたり、いがみ憎しみ合うより良い」となる理由なのか。家
庭内では女同志でなければ分からない色々な不平、不満等を話し合い、夫や育児
の世話を共同で行いストレスを解消する利点も大きい。だが、こんな女性達の姿
を想像しても、卑屈な生き方をしているようにも感じない。
外出時も覆いで顔と全身を隠し限られた視野だけ。狭い視野の中で明確な形と
なって存在するのは夫だけだから、全身全霊で夫に向かい縋る。精神的に物理的
に肉体的にも過度な要求に対して、夫はフォローを怠れない必至の情景が男に
とっては羨ましく天国なのか?
「4人の妻に16人もの子供を」と思うと過酷な地獄なのかもしれない。
根掘り葉掘りJの話を聞きながら、私は良妻?賢母の妻様1人で「天国だ!」
何故か女性専科になったが、私の専門科目?だから、序にもう一つ。くどいかな?
一夫多妻制は男性の性欲の立場からと思われやすいが、どうして、コーランとは
女性の本質をも良く考えている。イスラム教徒勢力拡大のための戦争が続き、戦争
未亡人や孤児達が多く発生し、必然的に未亡人達の欲望は生き残ったイスラム教徒
に向かい、風紀は乱れ問題化した。その救済措置としてモハメッドは一夫多妻制を
採り、当時の社会管理には有効だったと有る。他の宗教とその背景が違うのか。
じゃ現在は。未亡人救済?とも思えない。
アラブは血筋、血統を大切にする民族。結婚して女性は子供を生まなければならない。
それも「男児」を。でなければ半人前、肩身の狭い思いをする。妊娠しない又は女
児ばかり産む女性は自然の成り行きだから仕方がないのに、一族家族から冷たい視
線を受け、生き地獄の暮らし。それでも「次は」「次は」と子供をもうけさせられる。
男は念じていれば良いが、出産に伴う女の苦労は計り知れない。体力の消耗、美貌
の衰え、育児等の仕事の増加。
「男の子は他の女に産ませてほしい!自分の欲望だけを満足したい」
周囲のプレッシャーを避け、精神的にも肉体的にも楽になり性慾も平穏に楽しみたい、
女の本音が現実的な必然性を帯びているように思う。
書けば切りがなく、雑誌の原稿になりそうな量になるが、私は物書きでもなければ
研究家でもないし、学者でもない。内容の正誤に責任も持てないで書いているのだ
から、限度を考えなければならない、が。
イランの知人がいて彼との話題を熟したものにしようと「ブッシュ」の「悪の枢軸」
たる内容を調べてみたが、これ又、面白い。
イランの「核問題」「強圧的政治」「テロ援助」が主たる理由らしい。
「核問題」イスラエルの所持している核弾頭(兵器)、インド、パキスタン等の核は?
「抑圧(強圧)的政治」イランでは女性の参政権(選挙権、立候補する権利)が認め
られ多くの女性政治家が活躍している。イスラム教徒の国では教徒集団の指導者達の
権力が大きく政府を支配しているようにみえ、それが米的自由ではないと言うのか。
親米的(米も認める)アラブ諸国では女性の参政権なんて論議の対象にもならない。
(国連監視の国を除く)
「テロ援助」イラク人口の60%を占めるシーア派、シーア派の聖地がイラク領内に
あり、イラクにいる抑圧されたイスラム教徒等を解放したいイランの考え方が米的政
策と馴染まないと言うのか。これ等一つ一つを対比して考えると「矛盾なのか都合の
良い勝手な理屈なのか」さまざまな無知故の疑問の塊が私を刺激して止まない。
だがこれらは表面的な政治の駆け引き、思惑で、深層には米の根深い嫌悪感か、怨念
が見え隠れしている。イラン民衆が自らの手で圧制から人間的自由を取り戻したが、
米は自国の利益(石油)を取り戻すために、CIA主導でパーレビ国王政権を樹立。
だが、又若人の自由勢力中心でそれを倒し、その折、米大使館が約1年も占拠され、
その間に裁断機で細かく切り刻まれた、或いは大使館の重要書類を根気良く繋ぎ整
理して、米の隠して置きたい「秘密」を世界に公表した。
米国の信頼性、大国の面子を世界中の国、人はどのように思ったことか?
こんな歴史の流れを再認識すると夜中に目覚め、まだまだ何か有るだろうと布団を
抜け出し「彼」に聞きたい事を忘れないようにメモする。
こじつけのようだが、日々のボランティア行動の中から人間関係が生まれた現実が
確実にあり、興味の度合いが勝手に「何か」を知りたくなり、そしてボランティア
の日が待ち遠しく感じる時すらある。
ショッピングに行った時会ったモハメッドAが浮かぬ顔をして「彼女にふられた!」
「ここではイスラムの故郷のようにはいかない。帰りたいがそれも出来ない」と。
精神障害の原因はこの辺りに有るのかな?
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