私のボランティアNO53
(ボランティアの質の違い) 広瀬寿武
2月の身を焼くような暑さが、ゴルフ場の緑の芝の根深くまで差し込み、
その照り返しが足下から湧き上がって来る。
2006 Johnnie Walker Classic-Perth、 Round3。
コ−スのフェア−ウエイをPeter O'Malley、 Shiv Kapu、 Raphael Jacquelin
3人の直ぐ後に付いて歩いていた。
TVの画面で楽しんでいた「あのシ−ン」の真っ只中にいる興奮で、暑さ
なんか吹っ飛んでしまった。
プレイヤ−がキャディと話すコ−スマネジメント、アドバイス、時折交え
る冗談、プレイヤ−同士の会話が生で耳に入って来る.TVでは見ること
の出来ない、プレイヤ−の感情が直接伝わって来る、その面白さ。
今までも何度かこのようなPGAの会場に行ったが、遠くで見るだけ。
彼等の呼吸が伝わって来る近さに居る私自身が「うそ」みたい。
与えられた仕事をつい忘れ、プレイヤの一打に集中する魅力に引かれてし
まう。
私と言うより、私とTさんが一組になり、三人のプレイヤ−のスコア−を
表示したボ−ドを、ギャラリ−に見えるよう、高く持ち上げて歩く役割.
18ホ−ルを持ち運ぶのは見ているほど簡単ではない。棒の先に取り付け
られたボ−ドの重さで安定性が損なわれ、足下がおぼつかない.
だが私より五歳も若いTさんは、優しい思いやりの気持ちで18ホ−ルの
殆どを一人でボ−ド担ぎを引き受けてくれた。
私達はボランティアでフェアウエイを歩いていたのです。
その私のボランティアをTさんがボランティアしてくれたと、言う訳です。
常々、PGAの様な、それもプレイヤ−に間近で関われる様なボランティア
が出来たら楽しいだろうと思っていた。そんな思いが通じたのか、私から
願い出たのが適ったのか、VinesのA女史からの依頼。
「ボランティア、お願い!」「お願いしたいのは私の方です!」
Tさんの全面的なボランティアのお陰で、私は唯々、自分勝手に楽しみ、
満喫した。
「ボランティアをしながらボランティアをされる。いや、ボランティアを
したからこそ、ボランティアをして貰えたんだ」
意味不明瞭な小理屈。
「でも、これもボランティアって言うのかな?」
4月9日から17日まで日本の太平洋クラブ(御殿場)で
盲人ゴルフ世界選手権大会が行なわれる。
オ−ストラリアから29名が参加するため、日本での世話、雑用係の役員
として私が依頼され、毎日のように来る打ち合わせのメ−ル、電話の対応
に忙しくなった.オ−ストラリアからの世話係役員は私一人。
「日本人のボランティアはお前だけ、会場は日本、日本語が解かる。お前
がやらなくて、誰がやるのだ!」
なんて言うことはない。それだけの理由で私一人におんぶする。
「ボランティアの質の違い」
VinesのPGAは楽しかった!
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