私のボランティア NO22
  (尊い命を!どうして!)   広瀬 寿武

 ReliefのDriverを頼み、当日は責任を果たし、その夜の便で
四週間の休暇を貰い日本へ出かけた.SARSとイラク問題で空席を予想し 
たが、往復とも満席.
桜の花が散りかけた日本の巷は、一見、世界情勢とかけ離れた様な気楽な時
の流れを感じ、北朝鮮問題の緊張感も伝わらず違和感すら覚えた.    

同窓の友と飲み食い、何時しか時の話題イラクと世界観に触れ意見がくがく.
大会社のトップグル−プの中で、世界の空気を吸収し生き抜いた面々達の経
験から出る、楽天主義、厭世主義、宿命論、宗教的世界観、道徳的世界観等、
直接的な情意的評価は聞くに値する.彼等も私の外国生活(多様性、多民族
社会)の中から生じる意見に大いに興味を示した.
情報を得る本、雑誌はいくらでもあり、整理するのに困るくらい知識が豊富
になるが、どの本、雑誌、論文も著者の主観的思考で書かれた物.
読めば読むほど私の主観に疑問が生ずる.何故なら私自身、問題を真底から
苦悩して考えた経験が無く、ただ、本、論文等、作者の主観的意見を参考に
しているだけで本質の真実は分からない.イラクのイランのパレスチナの、
そしてアメリカの苦悩に触れ、主体を持って身を削ったとしたら、私の主観
的意見にも真実味を帯びるかも知れない.
アメリカ側から見たら大国の情報戦略、アラブの民主化による強大国の利益
の追求、父ブッシュのやり残したNeo−Nationalism政策の実
行等々、巧妙かつ狡猾と思われる大国権力を実力を持て示した.
だが、国際社会、intelligentsiaがアメリカの思想、政策を
知らない訳はない.腹の底まで推測し、且つ知り尽くしながらそれぞれの自
国の利益を優先する.
或る論文の中で「作戦の考案実行の為に権力者は情報管理、情報操作するの
は当然のこと」
権力者とは、
現国際社会に於て大国的権力者を必要としているか、
国際的警察力は、
国連の力は?
アメリカが大国主義を押し通す事の出来る現在の世界観は?
「善」か「悪」か「正しい」か「間違いか」の二つに一つを選択して解決出
来る様な単純な問題ではない.
そのことだけが浮き彫りになった貧困すぎる私の頭の中.
だが「戦争」は結果として「生命の喪失」と「破壊」と言う不幸を新たに造
り出す.そして今尚、テロの恐怖が時、場所を選ばず人類を襲う.
人間は「空恐ろしい悪」と、「とてつもなく素晴らしい善」とを持ち合わせ、
一見調和を保っているように見えるが、その調和が崩れた時の不安は永遠に
残る.
 
人類全体の責任だと私の頭は心に何かを命じた、、、なんて言えば「ほら、
直ぐに誰かが、偉そうに!」と.
字面にすれば「偉そうに」なるが、私ごとき凡凡人が難しい事を考える訳は
ない.ただ、私にも考え、出来ることが有れば、人類何十億人分の一の責任
と義務?が、いや、役に立のではないかと思っただけだが.
そして、現在混乱から復興に立ち上がった国を援助する、NGOのボラン
ティアに参加しながら「糞の役にも立たない」と言われないよに老頭と老骨
を上手に宥めている.
多種、多様な人種、宗教、主義、政治的な思考等が違うのに、ボランティア
に集まり、人の為に何かをしようとする.
人の心はみんな同じ.優しく、楽しく、豊かさが溢れている.
 それなのにどうして!
  どうして!
   命を大切にして!
命の尊さをもっと、もっと感じて!

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