私のボランティアNO20 広瀬寿武
(ある日のO’Cでのディスカッション)
O’C−精神障害者(メンバ−)をサポ−トするケア−センタ−.
十時を過ぎると二十数人のメンバ−が中庭に集まり,色々な話題が誰からと
もなく持ち出される.最近はイラク問題に多くの時間を掛けている.
フセインは馬鹿だよ.
どうして.
だって,このままじゃアメリカに攻撃される.
その攻撃に反対する人や国が何らかの抵抗をするから,イ−ジ−に攻撃の決
断をさせないだろうと予想する.
そんな事は予想する事ではない,当たり前の事だ.理由はさて置き攻撃を主
張する国が有れば,それに慎重になるか,反対する国が有るのは全く自然な
事だ.ましてや「アメリカはNO1」と言わんばかりの言動は,感情的にも
反感を買う.だけど国民のフセイン支持が百%と報道をする異常な国を信じ
られるか.
そうだよ,妹はイラク人と結婚して時々電話が来る.国際電話は盗聴されて
いるらしく短い会話で「フセインは偉大,イラクは勝利する」と.だが大分
前にイランで逢った時には「イラクの秘密警察は恐い,フセインは狂ってい
る.国民は物資の不足で困り果てているが,不服を言うとどんな目に合うか
分からない.ましてや反対をすれば投獄,果ては死.噂に寄れば生物化学兵
器の生体実験にされると.子供に薬を買って帰る,秘密だよ」と言っていた.
だけどアメリカは世界の警察ではない.今世紀にアメリカがして来た事は残
酷,無謀,身勝手と自ら横暴を繰り返しながら,国際社会の秩序を保ためと
言っても「はい,そうですか」と単純に賛成出来ない.
それはそうだが,危険分子,無法者には制裁を加えるか,強行に圧力を掛け
た方が良い.それには強い国でなければ出来ないのじゃないか.
強国がしたい放題をして良い訳はない.
だから安保理で知恵を出し合い討議をしている.
誰もが武力で生命財産,国土崩壊を損ない失うことは望まない.
アメリカだって人の国のために自国民の生命を掛けて,戦争する事を本当に
望んでいるのだろうか.
イラクが,フセインが武装解除をすれば全てが解決する.
フセインは自分の権力の維持を絶対優先する.小数派スニン派の基盤は弱い.
その上武装解除すれば強権政治の失権につながる.それは死を意味するから
簡単には従わないと思う.
アメリカだってイラクの石油の利権を自由にしたいし,イスラエルの国益も
守りたい.
理事国だって結局はそれぞれの国の事情や国益で,自分の立場を主張する.
イラク国民は不幸だ.
指導者,権力者の思考言動により国民が被る禍は大変だ.
トシ,北朝鮮は,あの国をどう思う.
北朝鮮と言う国の内情,国情の詳しくはニュ−ス,インタ−ネットや雑誌
(月刊朝鮮編.黄民基 訳)等でしか知らない.全く貧弱な知識でしか判断
出来ない.殆ど分からないよ.
どうして.
一方的な情報だが,現代国際社会の中での言動は「ヤクザもん」に等しい.
「ヤクザ」とは.
マフィヤの部類かな.必要の無い部類の人,いない方が良い.これは私の個
人的な意見だよ.
社会はマフィヤの存在を拒否する.個人的な意見ではない.ブッシュだって
「無法者」と名指している.
じゃ,日本は北朝鮮の問題をどう処理するのか.
どうするのが良いのか教えてくれないか.無法国家と言えども主権国家だか
ら国際社会の中で考えなければ.
その国がミサイルを使用する可能性だって有る.日本は対応出来ないだろう.
そうすればアメリカの援助,協力が必要になるのではないか.政治的にイラ
クの問題と切り離せないだろう.アメリカの立場を理解協力する方向を示さ
ないと,人道的な事だけを表面上唱えている訳にはいかないのではないか.
良い子ぶっていてはアメリカさんも臍を曲げるのではないか.いざ,と言う
時の日本国自身の事を政府が考えても理解出来る.日本にとって日米同盟は
最重要だからね.
有り難う,ご意見ごもっとも.国際政治と倫理論とは時として両立しない事
も有り,難しいよ.それにしてもこんな話題がここまで深まるとは,みんな
何処で情報を得るの?
新聞やニュ−スのネット,色々さ.
それにしてもO’Cで日本の安全保障問題,特にアメリカの翼の下にいな
ければ,国の安全が保障されないとはっきり言われ,戸惑いを覚えた.
トシ,そろそろ昼の支度にかかろう,時間だよ!
OK,続きは又にしよう.
今度はドイツの歴史,ヒットラ−について話そうよ.
OK.
ドイツについて調べて置かなければ.それぞれ得意な分野が有って熱中する.
聞き役を努めるのもボランティア.
この間はマクベスの名場面の解説を聞いた.高校時に読み,大学入試にも出
る名句の理解の深さに聞き入ってしまた.楽しいボランティア.
ソ−シャルワカ−のMが
トシ,話に熱中するのは良いが,興奮させない様に気をつけて,程々に頼む.
精神障害者のセンタ−であることを,すっかり忘れる昼の一時.
精神「心の闇」と知能「経験と知識」の関係に,より深く興味を覚えた.
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