私のボランティア NO12 広瀬寿武
熱狂したWorld cupも終わり、その間Golf、Tennisと
TV画面に貼り付き、書くタイミングが掴めなかった.締め切りが過ぎた原
稿の催促にここ一週間胃の痛い思いをした.楽有れば苦有り.だが楽だけの
方が良い.当たり前だが.
週二回のボランティアは私の苦楽に関係なく、朝目覚め、夜眠るがごとく
確実にやって来る.
CFでは冬場に入り早朝からの勤務?が増えた.私には解らないがお客さん
(患者)のコンデションが季節によって違うのかも.
朝七時半の出勤になると・・・いやはや・・家中のペ−スが狂い、年の所為
か一両日、後を引く.
まず、五時半に徐に蒲団を抜け、目覚めぬ頭と老体に熱いお茶を注入する.
三十分は掛かる.六時過ぎ夜の明けぬ暗闇の冷たい空気を揺るがして、愛犬
の散歩に.普段は八時から九時の間なのでワン助けも気が乗らないのだろう、
歩くのが遅い.小一時間.台所で妻の眠そうな顔.
「寝ていれば良いのに」「でも朝ご飯を・・」「早くて食欲が無いよ」
「もっと、せめて九時頃の予約にしてもらったら、大変じゃない」
そりゃ その方が良いが「病気が私に合わせてくれと頼むのか、馬鹿」と言
いたいが、もう三年近く続いているこのボランティアは妻の協力無くしては
出来ない.腹の中では妻も十分承知の上、言いたくなる気持ちも解る.
CFに向かう車の中では一日のボランティアの気構えが出来上がり願う.
「無事に、お客さんも車内で体調の変化が有りませんように」
O’Cではメンバ−(精神障害を持つ患者)皆が私を仲間として迎えてくれ
実に楽しく、充実感に溢れた時間を持てる.百kgを超えた男女の間に挟ま
ると私なんか子供に等しい.雨の一日、五十数人を連れてボ−リングに.
貸し靴のサイズで(私は6)からかわれ「トシは子供の靴を頼め!」
その日も曇り空.大の大人をぞろぞろ引き連れ映画「Spider−man」
を見に.当日はDisableの子供達が五十人近く、始まる前から大騒ぎ.
終わるまで画面の進行に共鳴する様に子供達の声が叫びかぶる.
突然、私達のメンバ−から同じ共鳴が映画の内容を守り立てる.
私はこの瞬間、不思議な感動を覚えた.純粋な心が館内に溢れ私自身の心が
満たされた.映画の後、このメンバ−と共にボランティアをしている満足感
が沸き、感謝をする.
五月十三日 National Volunteer in WA.
Volunteers the Spirit of Community
の詩「Iam a Volunteer」その第二節を紹介しよう.
Some say Iam a fool
doing unpaid work in an unapprecia
tive society.
I value the unpaid work I do
and to others it can be untold
wealth.
Iam free、and in my freedom Iam
rich
in frindships、satisfaction
and fulfilment.
この詩の精神を私の両隣に座った人が伝えてくれた.
左は六十九歳、手の甲が無骨に見えたが話すと大らかな感じの、元ハンデ−
マン.一人暮らしの人や身体の不自由な(特に老人)人が家で困る色々な修
理、屋根、ガ−タ−、庭、スプリンクラ−、水道のパイプ等と何でもする
ボランティア.
「それって労力もいるし、修理の為の材料費、部品代等がかかるだろうが、
どうするの?」単純にして馬鹿げた質問をしてみた.
「普段から気に掛け、友人知人の家でいらなくなった物を貰い集め、ガレ−
ジセ−ルを覗き安く買い置く.ボランティアで私の長年の経験知恵を役立た
せるのに、お金の事を言うのはボランティアの精神に合わない」
I value the unpeid work I do.
右の人は六十五歳、体格の屈強な元消防士.週二回、身障者のサポ−トをし
ている.車で海辺や公園、時にはブッシュへと一緒に遊ぶ.多くの人が関わ
り助けてくれ、ボランティアによってお金に換算出来ない満足が得られる.
天国へ持って行ける最高の財産だと.
Iam rich in frendships、satisfaction
and fulfilment.
この日歓談をした多くの人は、「Iam a Volunteer」と胸を
張り誇りをもっている.だがそれは名誉名声とは全く関係の無い、純粋な喜
びに輝いている.
Some say Iam a fool・・・・・・・.
このNO12号を読んで感じる事が有ったら、共感も反論も自分の中で消化
してほしい.
Some say Iam eccentric、
other assume Iam rich.
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