私のボランティアNO110 広瀬寿武
(International Volunteers Day)

12月4日パースシティの中心地にあるGovernment House(提督公邸)で
「Thank a Volunteer Day」が行われた。
約200名のノミーネートされた、西豪州でボランティアに従事、活躍する人が着飾った姿で集った。私にも書面とメールで招待状が来たので、たいした考えもなく出席の返事を出しておいた。このような席にはパートナ同伴が通常だが、妻の勤務の都合上、私一人の参加。ボランティアに関わる政府機関、団体が主催なのだが、受付で確認が済むと直ぐ、ワインかビールのサービス。殆どが車で来ているはずだが。
席に案内され隣にはボランティア協会に勤務する50代(想像)のK(女性)とパートナー,そしてその仲間。Kは2年前、長崎に4ヶ月滞在して、日本の話が永遠と続いた。
14人座ったテーブル、ワインのサーブ嬢は小まめに来ていたが
「ボトルを2~3本置いておけ」と声を掛ける。
メインのセレモニーが始まる前に酩酊状態になるのではと心配になった。
ボランティアに従事する人達、それをサポートする関係機関、その双方に、肩に力の入った気取り、おごり、硬さを感じない。
ボランティアとは気持ちの奉仕、それを支える団体機関も自然のままの受け入れ。参加者は提督公邸に招かれる事にプライドを持つようだが、私には無い。
でも一人参加の私も気楽に馴染み酔いも加わり、談笑の輪が隣席のも伝わった。
セレモニー、各界の名士が長い挨拶、実際は300人以上居ただろうが、広い庭での宴席、事前のウエルカムドリンク、4時過ぎの夏日の太陽、平均年齢80歳近いと想像する参加者達、等々、挨拶を聞く環境では無い様に感じていたのは私だけではないだろう。
聞こえてこないのか、聞いていないのか、杯を重ねる事は忘れない。
日々、ボランティアで活躍している参加者達のエネルギーを肌身で感じる。
ドリンクのサーブと共にフードのサーブ、結構なフードが多種豊富。
日頃のボランティアに対する感謝のサービス。
「豪華だ」と言いながらの味わい。
表彰が始まった時には嬌声、叫び、拍手、ワイン片手に叫び声。お祭り騒ぎ。
「そうなんですよ、今日はボランティアをする人達のお祭り。トシももっと飲みなさいよ」
私は話の輪に囲まれ、酔い、暑さに疲れ始めていた。
Kが「他に日本人は居ないが、ノミネートされたのは日本人でトシがけか?」
確かに日本人は見当たらないが、人種、国籍に関係は無いだろうと心が白んだ。
でも、確かに日本人が居ないのは寂しいと同時に、日本人である意識を持つプライドに痛さを覚えた。
3~4人の、いや、一人でもよい、日本人がノミネートされていたら日本人であることを誇張できたのに。私は古い日本人なのか?
異国に居るといつも日本人であることを忘れない。

2時間半、何か気持ちに引っかかる所を残したまま、途中退席。
その3日後に「Certificate of Recognition」が
Government of Western Australia Department for Communitiesより届いた。
レターには丁重な謝辞の言葉と、退席して渡せなかったので郵送します、と。

ここ、オーストラリアでは、ボランティアに従事する人は多く、特別な事ではないが、それでも政府を含めた関連機関、団体では従事者の励みになるように、気遣う事が多々ある。
紙一枚の表彰状とは言うが、貰えば励みになる事は確かだ。
ブラインド協会からはメダルとトロフィーを授与され、最早、7個目になる。
拍手とお褒めの言葉に「これでは当分、辞められないぞ」と困惑し、苦笑いで誤魔化した。
私のボランティアには演技を考える様な特別な思い入れがあるわけではない。
タイミング次第で「辞退、退散」の環境を伺っているのは常日ごろの事。
それなのに、メダルや表彰状を貰える資格が有るのか?





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