花のある生活 第44回
─ flower in life ─
道(みち)
人が歩む長い道のりをいけばなで明るく表現してみました。土台となる黄色いガラス花器も含めて作品全体を光沢感で満たしています
時には静かに感じたい「残ざんしん心」という言葉があります。
心残りがするという意味で使う以外に、物事をきちんと終え、新たなことを始める前の静寂を持つという意味があるようです。
一方で、茶道...
花のある生活 第43回
─ flower in life ─
神の宿る木
根引き松という縁起ものの松をいけばなに反映しています。門松やしめ縄のお正月飾りと同じ意味合いを持つ花材として使用しています
恭賀新年。明けましておめでとうございます。今年も伝統あるいけばなの美しさと、いけばなが現代にできる新しいことを日常の中から見つけて、皆様にお届けしていこうと思います。
生命力が強く長寿の木...
花のある生活 第42回
─ flower in life ─
待降節の集い
ローゼンタール社の花器に鷹の羽ススキと尾花を、炎が繭(まゆ)に包まれるようにいけました。厳かな暖かさを感じて頂けますと幸いです
今年もまた新型コロナウイルスに翻弄され、気付けば年の瀬が押し迫り、慌ただしく駆け巡った2021年も過ぎようとしています。そしてまた、クリスマス・シーズン到来の季節となりました。皆様はア...
花のある生活 第41回
─ flower in life ─
雪の華
ニュージーランド・フラックスの固い葉を有効に生かして幾何学的に組み、季節の花アゼリアをあしらって、華やかに演出しています
記憶にある神秘的な自然の美しさを数えていく中で、冬生まれの私は雪の結晶を真っ先に思い浮かべます。小さな頃の話ですが、寒い冬の朝、手袋をした手を、雪が舞い落ちてくる中に広げ、目を凝らしてみた時に美し...
花のある生活 第40回
─ flower in life ─
響き合うことの大切さ
床に花器を直接置いていけてみる。机の上と比べ面積の制限がないので、自由自在に裾を広げることができる
白熱の戦いが繰り広げられた東京オリンピックでは、国旗を背負った選手たちの真剣勝負を画像を通して観戦することができ、生きる元気や勇気を受け取ることができました。何年も掛けて練習してきた成果を一瞬に込めて戦い...
花のある生活 第39回
─ flower in life ─
軽くて強い、鉄の花器
鉄花器で花をいけています。硝子や陶器と違い、倒れても簡単に壊れることがない優れものです。置掛両用です
鉄というと“重くて硬い”というイメージをお持ちかもしれません。しかし実際は“軽くて柔らかい”物もあり、私たちの生活には想像が付かないほど鉄からたくさんの恩恵を受けています。古くから暮らしに欠かせない金属...
花のある生活 第38回
─ flower in life ─
坐禅修行
いけばなも坐禅も、花と語らい自分と語らい、花をいけて自分をいける。心静かに花材を見つめ自分も見つめて、美しい花をいけてみませんか
青もみじの季節に京都の禅寺へ坐禅修行に行かせて頂きました。無心さを欠くと、虫の声や雑音が騒がしく耳に入ってくると聞いていたので、参加する前から、自らの雑念が周囲に知れないだろうかと少々懸...
花のある生活 第37回
─ flower in life ─
旅の極意
根を含む、木の構成で骨格を組み立てました。大股で軽やかな足並みと膨らんだ胸元を意識していけています
旅を計画することは、好奇心をスーツケースに詰めるようなもの。いつもの場所へいつものように行かれる方が多いかもしれませんが、私はできることなら、初めての土地を訪ねて行くのが好みです。ガイドブックを参考に旅の行程を考えて...
花のある生活 第36回
─ flower in life ─
いきな粋(すい)なな、ごあいさつ
伝統芸術の中にある大らかな遊び心。器になみなみと水が張られ、水面から飛び出す凛とした一直線の赤い花が魅力的です
「粋(いき)ですね」と、ちょっとしゃれた感じに見える時に使う言葉がありますよね。京都に行くと粋(いき)ですねとも言いますが、同じ漢字を当てて「粋(すい)ななぁ」と言われることがあり...
花のある生活 第35回
─ flower in life ─
粘り強く、しなやかに
いつもと違った表情の枝ものと、ユニークな花器とのマリアージュが楽しい
人にはそれぞれ性質があるように、植物の枝にもそれぞれ特徴があります。すぐにポキっと折れてしまう枝や、上下左右と奔放な向きに成長する枝、粘り強く少々曲げても折れない枝など特徴はさまざまです。花をいける時はその植物の特徴を理解しなければ良...