ベン・ホルトの豪州ワイン物語
流行の逆を行くオレンジ・ワイン
ワインというのは絶えず僕を驚かせてくれる。終わりなき挑戦を続ける農家の努力の賜物だ。ワインにもさまざまなトレンドがあり、ワイン・メーカーが発酵時間や温度、オーク樽の選択、澱を攪拌する行程など、直接ワインの仕上がりに影響を及ぼす「介入」もその1つだ。最近のトレンドは自然回帰で、ワインを自然経過に任せて発酵させ、ろ過はせず、硫黄も添加しな...
ベン・ホルトの豪州ワイン物語
マーガレット・リバー
西オーストラリアのマーガレット・リバーに行ったことはあるかな。そこは陸の孤島で、インド洋の強い波のおかげでサーフィンのメッカでもあり、ワイン通には、カベルネ・ソーヴィニヨンの地として知られる。
昨年12月に行った南西オーストラリアの旅は、夏なのに予想以上に涼しかった。最初のワイナリーで「あなた、バレエ・ダンサーでしょ?」と女性にスタッフに聞かれ...
ベン・ホルトの豪州ワイン物語
ヨーロッパ紀行スペイン編 ー 最後の目的地、プリオラート
皆さんは今年どんなワインとの出会いがあっただろう——? 僕は今、読者の皆さんのことを考えながらこのコラムを書いている。住む場所もさまざまで、ワーキング・ホリデーに来ている人や、駐在員の奥さん、そして自営業の人もいたりと、きっと広い読者層なんだろうなと想像する。中には、在豪歴20年以上で、オーストラリア人よりも...
ベン・ホルトの豪州ワイン物語
ヨーロッパ旅行スペイン編
牛の血も騒ぐ、トーレスのワイン
ヘミングウェイは「闘牛という言葉はスペイン語にはない」と言っている。スペイン語の闘牛にあたる言葉「Corrida de toros」は直訳すると「牛の走り」だからだ。ヘミングウェイのスペインを舞台にした小説「陽はまた昇る」でジェイクとブレッドがパリから訪れていた1920年代に比べると、この「牛の見世物」は現在...
ベン・ホルトの豪州ワイン物語
ヨーロッパ紀行スペイン編
名門家の確執が極上の泡を生む
僕のお気に入りの街はバルセロナだ。2度しか訪れていないので、成就していない恋愛関係のように、永遠にロマンティックな想像の産物として残っている。街を斜めに裁断するディアゴナル通りと有機的建築の街を中心に、夜のタパス・バーの飲み歩きを思い出す。カヴァは主役であり、話を弾ませてくれる潤滑油のようなものだ。カヴァのふる...
ベン・ホルトの豪州ワイン物語
ヨーロッパ紀行スペイン編
いざ、情熱の大地スペインへ
1つ山脈(ピレネー)を越えただけで、ワインの世界がこんなにも違うとは、ただ驚くばかりだ。あちこち旅をして何度も見てきたように、地理と気候がぶどうの品種とその成長パターンを決定する。その次は、ぶどう栽培者や醸造家の発想力と努力だと言える。
ヴィノ・デ・エスパーニャといえば、皆さんは何を思い出すかな?カヴァ、テンプラ...
ベン・ホルトの豪州ワイン物語
ヨーロッパ旅行フランス編
アルザスで有終の美を飾ろう
僕の通称名でもある「リースリング」で僕たちのフランスのぶらり旅を終えるなんて、最高じゃないか。フランスにもう1年留まることだってできるし、留まるべきだとも思う。でも、ほかにもエキサイティングな冒険が隣の国で待っているんだ。さて、フランス編の最終地、アルザスへ向かおう。
アルザス地方と言えば、リースリングを思い出す...