オージー・ワイルドライフ 診療日記
第18回 ケガした動物を助ける、その前に
昨年1年間に「Currumbin Wildlife Hospital」で治療を受けた動物の数は8千超。1匹の動物の命を助けるために直接または間接的に関わる人の数は、その何倍にもなります。ケガした動物を発見した人、現場に赴いたレスキュー、応急処置をした一般動物病院、動物専用救急車で当院まで搬送したボランティア、直接...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第17回 疲れ切った渡り鳥たち
例年、11〜1月にかけての夏の嵐の時期になると、ほかの季節には見られない種の鳥がたくさん保護されます。渡り鳥であるミズナギドリ科(Shearwaters)の鳥たちもその一部です。年に一度の繁殖期以外は陸に上がることはなく、長い期間を渡りの飛行と水中での捕食に費やします。オーストラリア東海岸でこの時期によく見られる種のミズナ...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第16回 保護される赤ちゃんコアラたち
毎年300頭ほどの野生のコアラがケガや病気のために保護されカランビン・ワイルドライフ・ホスピタルで治療を受けますが、2014年12月初めの1週間だけで大人のコアラが10頭、加えてコアラの赤ちゃんが3頭保護されるという事態がおきました。
生まれたばかりのコアラの赤ちゃんの体長は約2センチほど、最初の半年間はお母さ...
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第15回 擬態して隠れる動物たち
土地開発が盛んに行われているゴールドコーストでは、森林伐採の跡地で鳥やポッサム、モモンガの赤ちゃんがたくさん保護されます。一定以上の規模の伐採を行う場合はワイルドライフ・スポッター(野生動物観察者)を雇うことが業者に義務づけられており、事前に野生動物がいないかどうか、いる場合は安全に移動できるかどうか調べることになっ...
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第14回 野生動物に食べ物を与えるということ
Currumbin Wildlife Hospital(カランビン野生動物病院)では、近隣の住民や動物病院からの質問や相談に応じています。中でもよく質問されるのは「野生動物に食べ物を与えてもいいの?」というものです。ベランダや庭にやってくる鳥やポッサム、またカンガルーなどに餌をあげたいという人は多いです。...
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第13回 街に住むポッサムとの共存
夜中に突然、天井裏や屋根の上から大きな物音が聞こえることはありませんか?ガサガサと小さな音の正体はきっとネズミですが、ドタバタと大きな音がする時はポッサムが縄張り争いをしていることがほとんどです。
ポッサムは木の洞に住む夜行性の有袋類で、オーストラリア全土に生息しています。郊外の住宅地で一番よく見られるのが、フクロギツ...
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第12回 後を絶たない鳥の衝突事故
毎日ふと空を見上げると、必ずと言っていいほど鳥が空高く飛んでいる様子が見られます。遠くからは悠々と飛んでいるように見えますが、その飛行速度はとても速く、ほとんどが時速30キロメートル以上、多くは時速100キロメートルを超えたスピードで飛んでいます。
ある日、病院の窓ガラスに何かがぶつかった大きな音がしました。外に出...