オージー・ワイルドライフ 診療日記
第31回 コアラのキンディー(幼稚園)
例年になく雨が少なかった夏が終わりを告げ、ゴールドコーストの秋の始まりは雨ばかりが続いています。動物たちもあまり活発に動き回らないためか、カランビン・ワイルドライフ病院で治療を受ける野生動物の数も減ってきました。そんな中、4頭のコアラたちが、リリース前の健康チェックに連れて来られました。
この4頭は全て、昨年春頃にNS...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第30回 野生動物の「命を救う」ということ
昨年1年間だけで、8,500超の野生動物がカランビン・ワイルドライフ病院で治療を受けました。そのうち、治療とリハビリを終えて野生に返すことができた動物は約4割。けがの後遺症などで野生に返すことができなくなっても、繁殖プログラムへの貢献のために飼育施設に移される動物は残りの6割に含まれます。しかし、こうしたケースは1...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第29回 オーストラリア最小のフクロウ「アオバズク」
春から夏にかけての暖かい季節に生まれたたくさんのヒナたちが、毎年この季節になると親鳥の元を離れていきます。しかしまだ羽が生えそろっていないうちから巣立ちの準備を始めるため、上手に飛べるはずもなく、木から落ちて巣に戻れなくなってしまうことも多いのです。けがもなく健康そのものという場合がほとんどですが、地面で...
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第28回 ケガをした水鳥のレスキュー専門家
ゴールドコーストの街は、ビーチはもちろん、湖や川などの水辺が至る所に存在します。砂浜で休憩しているペリカンや、ヒナを連れて湖を泳いでいる黒鳥を見て、心が和むことも多いのではないでしょうか。
水鳥は、翼を傷めて飛べなくなったり、脚にケガをして引きずるような歩き方をしていても、水の中を泳いでいると遠目にはケガが分かりづ...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第27回 容器にはまったソトイワトカゲ
カランビン・ワイルドライフ病院での治療に携わるようになって4年経ち、QLD州南東部に生息する野生動物の種はほとんど見たことがあると思っていましたが、まだまだ経験不足だったと感じる出来事がありました。
容器から出られなくなったトカゲ(上)と、救出後の様子(下)
スプリングブルック国立公園の近隣住民が、プラスチック容器...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第25回 飛べなくなったモモイロインコ
沈没船や衝突事故を起こしたタンカーから重油が流出し、海に生息する動物たちが被害に遭うというニュースを聞いたことがある人もいるかと思います。海鳥は水中の魚を食べようとして重油まみれになり、飛べなくなるだけでなく羽毛の防水性を失って体温を保つことができなくなってしまいます。また、油を誤飲して死んでしまう鳥もたくさんいます。...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第24回「増えすぎた野生動物」が意味するもの
野生動物の保護活動が盛んなオーストラリアですが、近年、野生動物の殺処分が話題になることが増えている気がします。ビクトリア州政府が一部の地域で「増えすぎた」野生のコアラを間引きするために686頭を殺処分したというニュースは世界中で報道され、たくさんの議論を引き起こしました。
8月初めには、ゴールドコーストのリゾート...
オージー・ワイルドライフ 診療日記
第23回 巣やヒナを守るマグパイ
朝晩、冷え込む日が続いています。野生動物たちの行動も鈍くなっているため、カランビン・ワイルドライフ・ホスピタルへやってくる患畜数も減り、短い冬ですが1年で今が最も静かな時期です。とはいえ、昼間は日が差して気温も上がるため、日光浴を楽しむトカゲや亀の姿もよく見られます。
もう少しでやって来る春に向けて、たくさんの動物たちが繁殖...