オージー・ワイルドライフ診療日記 第91回
カエルの大量死
カランビン野生動物病院に保護された、痩せて皮膚に斑点ができているカエル
気温と水温が低く、降水量も減ってしまう冬の間、カエルの活動量はめっきり少なくなります。餌となる虫の数も減ってしまうため、毎年一番寒くなると言われる時期が来ると、不特定多数のカエルが死んでしまいます。作物網に引っ掛かってしまったり、ペットの犬や猫によって傷付けられ...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第90回
危険が潜むコアラの繁殖シーズン
母親にしがみ付く赤ちゃんコアラ。誤って木から落ちてしまい、けがすることも
保護される野生動物の数が少なく比較的静かだった2カ月を経て、今年もコアラの繁殖シーズンがやって来ました。毎年8月から1月にかけて、繁殖のためコアラの行動が活発になります。そのためけがをしたり、コアラがいるはずのない場所で発見され、保護される数が...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第89回
寒い季節を生き抜く動物たち
暖炉に住み着いていたポッサム
冬になり朝晩の気温が冷え込むゴールドコーストですが、日中は日が差して気温も20度を超え、暖かく過ごしやすい日が続いています。寒くなると動物たちの活動は低調となり、その結果、けがなどで保護される動物がめっきり少なくなります。毎年6、7月はカランビン野生動物病院が最も静かな期間です。
さて、野...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第88回
交通事故で負傷したカンガルーを見つけたら
母カンガルーの育児嚢から保護される赤ちゃんカンガルー
カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリーには、餌を与えたり、撫でたり、間近で一緒に写真を撮れるなど、放し飼いのカンガルーと触れ合えるエリアがあります。人間や頭上を通る航空機の騒音に慣れているため、人が近づいても全く気にするそぶりを見せません。
一方...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第87回
大型の海鳥、オオグンカンドリ
保護されたオオグンカンドリ
カランビン野生動物病院では、毎年400種を超える野生動物の治療が行われていますが、滅多に保護されることがない種の動物については、なかなか治療やリハビリの経験を積むことができません。年に1、2匹保護されるかどうかのカモノハシやアホウドリがその例です。
例年、サイクロンによる暴風で航路から外れ...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第86回
殺鼠剤を食べたポッサムの赤ちゃん
治療を受け、回復したポッサムの赤ちゃん、リリー
オーストラリアには、コアラやカンガルーなど、この国でしか見ることができないオーストラリア固有の動物がたくさんいます。それは、オーストラリア大陸が早い段階で他の大陸から分断され、特殊な生態系が守られてきたからと考えられています。
しかし、ヨーロッパからの移民と共に外来...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第85回
雨上がりのアマガエル
保護されたアマガエル(Photo: Currumbin Wildlife Hospital)
南半球に位置するオーストラリアでは12月から2月が夏、サイクロンが発生しやすい季節です。今年はラニーニャ現象もあり、集中的な大雨が続いています。
野生の鳥や哺乳類たちは雨が降っている間はあまり巣穴から出て来ませんが、ここぞとばかりに...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第83回ペットが野生動物を傷付けてしまったら
蘇生したアオジタトカゲの赤ちゃん
カランビン野生動物病院では、新型コロナウイルス感染防止のための行動制限の下でも、昨年1年で1万3000もの動物たちが保護され治療を受けました。野生動物がけがをする原因で、車両との接触の次に多いのがペットの犬や猫による攻撃です。
犬も猫も動くものを追い掛けることが好きですから、視...
オージー・ワイルドライフ診療日記 第82回ひな鳥を保護しないで
保護されて持ち込まれたひな鳥
春から夏にかけては、巣立ちを迎える前のひな鳥がたくさん保護されてきます。卵から孵かえったひなは、巣の中で親鳥が与えてくれる餌を食べて成長し、自分の体重を支えられる脚力が付くと巣から出始めます。羽は生えそろっていないため、木の上から飛び降りてしまうと巣には戻れず、1~2週間は地面で過ごすことになります...